「フリーランス1年目、仕事の極意を先輩に学ぶ」vol.4 枌谷力先輩

6月28日に第4回目の放送がありました。
今回のゲストは枌谷 力先輩!
以前枌谷先輩のセミナーに参加させていただいて、言語化することの大切さをおっしゃられていたことや、ブログも以前から読ませていただいていたので、今回もっと深くお話が伺える貴重な機会をいただけて、とても嬉しいです!

それでは、まず枌谷先輩のプロフィールをご紹介します。

枌谷 力(そぎたに・つとむ)

株式会社ベイジ 代表
web制作会社ベイジ代表。1997年にNTTデータ入社。企画営業を経験した後、2001年にデザイナーに転身。2007年にフリーランスとして独立。2010年にベイジ設立。BtoBマーケティング&セールス、データ解析、UXリサーチ、コンテンツ企画、サイト設計、UIデザイン、コピーライティングを得意とし、人事、広報、組織設計などの経営関連業務も含めて日々幅広い領域を手掛けているが、基本はデザイナー。2017年にはマーケティング会社ナイルのUX戦略顧問就任。公私で2つのブログを運用し、Twitter、Facebook、Instagramも日々更新するなど、ソーシャルバズのセオリーも独自研究している。

枌谷力先輩
それではさっそく番組を振り返っていきたいと思います。

言語化とは、自分と向きあうこと。

最初の質問として『物事を言語化する能力』について、枌谷先輩がどのようにこの力を培ってきたのか聞いてみました。

枌谷先輩によると
「そもそも言語化とは、自分と向き合うこと。それはつまり、心で感じたことに深く気が付けること。例えば、白い壁を見て『白い』と表現することは、自分の外の世界を表現しているようで、実は、白く見えている『自分の感覚』を言葉にしている。だから言語化とは、自分が心の内側で思ったことに深く気が付けるか。それが大前提になる。」とのことでした。

なるほど、私が苦手な部分は、「そもそも心で感じたことをあまり認識できていなかった」ことに気付きました。
ぼんやり感じただけでは、言葉にできない。
ではそのぼんやりを、くっきり感じられるようにするにはどうすれば良いか。
枌谷先輩はなんとも意外な方法で言語化が鍛えられた実感があるそうです!

それは、音楽を言葉で説明するということ。

枌谷先輩が趣味で音楽サイトを運営されていた頃、好きなアーティストやアルバムのレビュー、またライブに行けばレポートを書きサイトにアップしていて、一週間に数百文字のレビューを3~4本書いていたそうです。
音楽の感想って「サイコー」「好き」以外パッと出てこないけど、そこを敢えて「なんで好きなのか」「どういうところが好きなのか」「なぜそう思ったのか」と深掘りしていったそうです。
この作業が自分の心の内側を観察して、それを具体的な言葉にしていくトレーニングになるそう。だから、言語化能力を鍛えたかったら、仕事のことじゃなくても、趣味や自分が好きなことを言葉にしていくということで十分だし、その方が長く続けられていい、とのことでした。

私が文章を書いていて一番難しいなと思うのが、「具体的な話を盛り込む」こと。具体例を入れながら、文と文とのつなぎを自然に運ぶことが難しい。でもこれを入れないとリアリティの無い薄いストーリーになってしまう。

なぜ自分は言語化がこんなに苦手なのか。今回その根源が分かったので、自分が考えていること、頭の中のもやもやをきちんと外に吐き出す。これを習慣化していこうと思います。

効率的に仕事を終わらせるには

枌谷先輩のブログの中で、特に刺激を受けたこちらの記事、「仕事の抽象化と構造化」という考え方について、聞いてみました。
「やったことがないからできません」という人が淘汰される理由 | ベイジの社長ブログ

ここでは「抽象化」について、書きたいと思います。まず「抽象化」とは、物事の具体的な枝葉を削ぎ落として本質に向かう思考法。この力が優れていると、やったことがない仕事でも対応することができる。

枌谷先輩はここでも趣味の音楽を例に、話をしてくださいました。
『趣味と仕事を結びつける。 』

枌谷先輩は、趣味である音楽の情報に触れているとき、いつもマーケティングを結びつけて考えるそうです。またビジネス書を読んだりするときは、「この話は音楽にも通じるな」と思ったりするそう。
好きなことと、仕事の共通点を見つけ出す。最初はこじつけだったとしても、「きっと関係している何かがある」と捉えて考えを巡らせ続けると、ものごとを構造的に、概念的に捉えるトレーニングになり、抽象化思考が高まるとのことでした。

一見全く関係のなさそうなものの共通点を探す。そういう風に、枌谷先輩はいつも頭の中を巡らせているとのこと。

ここで、ひとつ気付いたことがあります。

枌谷先輩は『音楽』という自分の好きなものを追求し尽くして、アウトプットを行い続け、だからこそ色んなことが仕事に繋がるほど身になっているのだなと思いました。

私は正直飽きっぽくミーハーで、なにか一つ好きなことと言ってもすぐに浮かんでこないことに気が付きました。
本当に自分が好きなものを追求していく、それは一見遠回りのようで、物事の本質が見えてくる一番の近道なのかもしれないと思いました。

自分をマーケティングする

フリーランスになった当初から枌谷先輩は『自分の肩書きを考え続ける』ということをずっと模索していたそう。

要は、デザイナーはデザイナーでも、なにが得意なデザイナーなのか。
枌谷先輩の例でいうと、最初は、「ビジネス提案ができるデザイナー」という立ち位置から始めたそうです。でもそれがあまり定着しなくて、その次に「提案書がかけるデザイナー」、「マーケテイングが分かるデザイナー」、そして現在の「BtoBマーケティングが得意なデザイナー」にたどり着いたということでした。最初から「BtoBに強いデザイナー」という自分の肩書が見つかっていたわけではなく、色々な肩書を試したり、市場ニーズを観察したりしながら、決めていったそうです。

当然のことながら、待っているだけでは、今実績のある「デザイン」の依頼しか来ないですよね。
案件の幅を広げたい、より上流から携わりたいのであれば、デザイン提案の際にマーケティングの文脈を含めて提案したり、「こういうことが出来ますよ」という活動をしていく必要がある。

会社に勤めていれば、ステップアップするチャンスや、より高度な仕事は会社が与えてくれるかもしれないけど、フリーランスではそうはいかない。
お話の中で、自分の肩書に見合った力を身に付けるために、「30万円もする業界セミナーに参加したり、その業界で有名な方をフォローしたり、会えそうなら会ったり、本を読んだらすぐ提案書に反映したり…」など、こんな活動をしてきたから今のスタイルが築けたという経験談を教えていただきました。

自分自身で切り開いていくなんて、すごいハードル高い…枌谷先輩みたいに精力的に活動できるかな…なんて、正直弱気に思ってしまったりしたけど、誰にも何にも干渉されず、自分がやりたいと思うことを精一杯やれる環境はありがたいことだよな…とプラスに捉えてどんどん自分から行動を起こしていかなければと、気持ちが引き締まりました!

枌谷先輩にとって仕事とは?

人生に活力を与えてくれるもの。
自分を変えてくれるもの。

枌谷先輩は、学生時代や社会人成り立ての頃、「楽しい」という感覚をあまり持っていなかったけど、デザインやインターネットに出会って、そこから自分の人生が始まったかのような感覚を持っていらっしゃるとのことでした。

また、『仕事を通して、自分が変わっていく感覚が面白い』とおっしゃる枌谷先輩。
昔の自分は、こんな考え方をしていなかったのに、いつのまにか過去の自分では考えられない価値観や考え方に自分を連れていってくれる。仕事とはそんな存在だと、おっしゃっていました。

たしかに自分を振りかえってみると、学生時代はもっとふわふわしていたし、社会の荒波に揉まれることで、少なからず責任感の行動を取れるようになったかなと思います。さらにフリーランスになってからは、自分自身の力で生きていくために、それまでの甘えた考えから心を入れ替えなければと多少苦しんだり、人と人との繋がりに関しては今まで以上に真剣に考えるようになりました。

私も自分にとっての仕事は、『自分を高める修行の場』と捉えています。
でも、枌谷先輩のように『面白くてハッピー』という感覚があまりないので、早くその境地に達したいと思う今日この頃です。

まとめ

今回枌谷先輩には『仕事とは』という、基礎の基礎の部分を教えていただきました。
自分が思っていることを相手にきちんと伝えるには、自分が考えたことの輪郭を、自分自身が捉えていないと言語化できないということなんですね。
当然のことのようですが、それができていなかったから言語化が苦手だということを認識できました。

あと、若かりし頃の枌谷先輩は仕事があまり好きではなく、定時に出社して定時に帰る、飲み会などは極力避ける、業務時間外は一切勉強も何もしない時代があったということを聞いて、スーパーマンのような枌谷先輩を少し身近に感じることが出来つつ、自分を高めていく方法をたくさん教えていただいたので、できるところから自分に取り入れて行きたいと思います。

フリーランスになった以上、受け身で仕事をこなしていくだけではなく、来年再来年に生きる活動を積極的に行っていかないといけないんだと強く感じました。
枌谷先輩、貴重なお話を本当にありがとうございました!!!